資本主義社会における経済の発達は、事業者間の自由競争が前提となっています。しかし、自由競争と言ってもそこには一定の秩序が求められるべきであり、他社を出し抜くためのアンフェアな行為までを自由競争の枠内であるとして認めると、市場の混乱を招き、経済に悪影響を及ぼすことになりかねません。
そこで、事業者間に公正な競争ができる環境を確保し、国民経済を健全に発展させることを目的として、「不正競争防止法」が平成5年に施行されました。
不正競争防止法(以下「法」)が定義する「不正競争」とは、一例として
などがあげられます(法第2条1項参照)。
このうち①②は商標法、③は意匠法上の知的財産となり得ますが、登録していなければ権利はなく、法による保護の対象にはなりません。また、⑤のDVD自体は著作権法上の「著作物」となりますが、著作物へのアクセス管理技術は対象となっていないため、著作権法で⑤の行為を差し止めることはできません。不正競争防止法は、このような、いわば他の法の目を潜るような行為に対し、法的措置をなすことを可能とするものなのです。
ある行為が法で「不正競争」であるとされれば、営業上の利益を侵害された者は侵害者に対し、不正競争行為の差止(法第3条)や、当該行為により生じた損害の賠償(法第4条)を請求することができます。
また、不正競争行為は利益だけでなく、劣悪な商品を自身の商品と混同された場合など、営業上の信用も害することがあります。そこで法はこのような場合、侵害者に信用回復の措置(新聞への謝罪広告掲載など)を行うことが請求できるとしています(法第14条)。
未登録の標章や意匠は知的財産法上の保護はありませんが、不正競争防止法の対象になる場合があるため、企業としては法の趣旨と要件をよく理解しておくことが大切です。また、取引先のノウハウや秘密情報の取り扱いについては、経営者だけでなく従業員にも徹底しておく必要があります。
不正競争防止法は、公正な競争環境を維持し、市場の秩序と経済の健全な発展を支える法律です。
周知表示や営業秘密、ノウハウといった無形資産を守る点に特徴があり、未登録の標章や意匠でも不正競争防止法の対象になる場合があるため、企業はビジネス上のリスクにも目を向ける必要があります。
そのため、企業活動においては、特許・商標・意匠などの権利取得だけでなく、不正競争防止法の視点を踏まえた法的対応や契約・情報管理が不可欠です。
知財と法務の両面から企業を支援する「技術法務」は、不正競争防止法の実務でも重要な役割を果たします。弁護士法人内田・鮫島法律事務所は、知的財産と法務の専門知識を融合し、ブランドや技術、ビジネスモデルを総合的に守り・活かす「技術法務」で企業の価値最大化をサポートします。