商標とは、事業者が自社製品に使う名称やロゴマークなどのいわゆる「標章」を、他の同種の製品と識別するための権利です。消費者はある製品に、特定の会社や製品名が表示されていることで、その製品やサービスの出所を認識し、信頼性を判断し、購入の動機とします。このように商標は出所を表示し、ブランド力やイメージを分かりやすく向上させることができるため、事業者にとって大切な財産となり得るのです。
商標法は、知的財産の一つであるこの商標を他者に勝手に使用されないよう規制をかけ、信用の維持を図ることで、権利者だけでなく消費者の利益をも守ることを目的とした(商標法第1条。以下「法」)法律です。
法で保護される「商標」は、事業者が自らの商品やサービス等に付する「文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音(法2条)」などです。ちなみに「音」は平成27年に認められた新しい商標で、例えばPCの起動音などが挙げられます。
商標は他者と区別するための知的財産で、登録により権利が取得できますが、新たな創作であることは不要である代わりに、出願人が指定する商品との関係で「識別力の有無」という要件が求められてきます。
例えばリンゴの品種に「APPLE」という標章は当たり前すぎて認められませんが、パソコンメーカーであれば「APPLE」は慣用されておらず識別力があるとされ、商標として認められるといった具合です。出願時に指定した商品や役務(サービス)における使用においてのみ効力が発生するというのも商標権の特徴の一つです
なお、極めてありふれた標章、他の商標と紛らわしい標章は登録が受けられません。ただし、車メーカーの「HONDA」のように、長年の使用により社会上識別力ありとして商標が認められる例もあります。
商標権は、他の知的財産権と同様、権利者が当該商標を使用する権利を専有し(法第25条)、
無断で使用された場合などに、侵害の相手方に対し差止や損害賠償の請求ができます(法第36条・民法第709条)。
一方で、商標は先述のとおり信用の維持や消費者の利益が重要な目的であることもあり、他の知的財産と違い、登録料を納め続けることで半永久的に権利を維持することが可能です。例えば商品の形状につき、意匠権でなく商標権で取得しておき、長く独占使用してブランド化するのも戦略の一つです。
商標は、その対象製品に技術的創意があれば、他の知的財産権と複合的に組み合わせての活用もできます。
なお、出願時の指定役務が多ければ多いほど、出願料や登録料が高くなることに注意が必要です。専門家などと相談し、役務はある程度厳選して指定するようにしましょう。
商標法は、企業のブランド力や信用を守るために設けられた法律です。
商標は、商品やサービスの出所を示す役割を持ち、消費者の信頼を獲得する重要な手段となります。そのため、商標権は事業者にとって大きな財産となり得ます。
実務においては、商標権の取得・活用だけでなく、特許・意匠・不正競争防止法など他の知的財産権との連携や、契約・交渉・紛争対応といった法務の視点も欠かせません。
特に、技術やデザインを含む製品・サービスでは、商標を活用した長期的なブランド戦略が重要な経営課題となります。
こうした背景から、知財と法務の両面を横断的に支援する「技術法務」の役割がますます高まっています。弁護士法人内田・鮫島法律事務所は、商標をはじめとする知的財産の取得・管理・活用にとどまらず、戦略的なブランド構築や紛争対応まで、多角的な視点から技術とビジネスを支え、「技術法務」で企業の価値最大化をサポートします。